人気エリア取材記事の第7回目(最終回)では、再び四国へ。訪ねたのは、徳島・香川・愛媛三県の県境の尾根に跨る秘境「祖谷(いや)峡」。急峻な四国山地の峰々へと連なる平家落人伝説の色濃く残るこの山深き里で、築三百年の古民家再生をものしたアメリカ人東洋文化研究者、アレックス・カー氏が主宰するNPO法人と地元三好市の協同プロジェクトを取材。標高1千m近い集落の山頂に建つ築百年以上の古民家に取材班全員が宿泊。まさに「分け入る」と言う他ない程に奥深いこの地で見たものは、かつて日本の農村に存在した水田と山里から成る桃源郷のような景観の秩序の残像。誌面では、カー氏の慶応留学中の若き日々の取り組みも振り返りつつ、失われた日本の住まいの原風景を探った。